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クロード・クルトワ 

先月、クロード・クルトワの家にワインの買い付けに行ったファブリスに、妻クローディンヌが持たせてくれたお土産、ミラベルのジャム。

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自家製の果物自体がとってもおいしい上に、クローディンヌの腕がプラスされこんなにおいしくなったのでしょうが、この味は衝撃でした。
キャラメルミルクのような柔らか~い味にミラベルの果実味が加わったような・・・。

ワイン界の天才(奇人ともいわれる)クロードの妻クローディンヌは、あのクロードを支えるだけあってかなり強い人なのだけど、5人の子供から愛される(もちろんクロードからも)優しく賢く美しくお料理が抜群に上手な、とても素敵な女性です。
いつもクロードとけんかばかりしていて(彼らのけんかはすごく凄まじい)、先週、ブザンソンまで注文のワインを持って来てくれたクロードは、毎度のごとく、もうクローディンヌとは離婚だって言ってたけど、なんだかんだ言って結局いつも一緒の二人。
ほんと面白い夫婦です。

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これが噂の天才クロード。

見た目は熊(!)のような人ですが、心はとても繊細で教養がある人。
ワイン作りはかれこれ25年以上もしているのに、毎年、さらにいいものを作ろうとして、彼の探究心はとどまることを知りません。
一度は、シラというブドウが200年前に彼のいるソローニュで植えられ、ワインが作られていたことを知り、早速シラを植え、おいしいワインを作ってしまいました。
その後、I.N.A.O.(ワイン原産地名称国立研究所)によってシラはどこそこでしか作ることが出来ないと決められていて、ソローニュで作ることは許可できないから、即刻シラのぶどうの木をすべて引き抜くようにとお達しがありました。
ただでさえ、彼のワインにはどれにもアペラシオンが与えられず(等級は一番下のテーブルワイン)、しかもソローニュで200年前にシラが作られていたという文献があり、そしてなにより彼の作ったワインがとてもおいしいものであったにも関わらず「作るな!」なんて、あのクロードが納得するわけがありません。
結局、裁判にまで持ち込まれ、クロードはシラを作ることを禁じられた上、多大な罰金を払わされることになりました。

少しアペラシオンの説明をしますが、例えばボルドーワインは、ボルドーで作ることを許可されたブドウを使用し、その年ごとに決められた一定の味になったものにのみ、ボルドーのアペラシオンが与えられます。
だから、ボルドーで作ったワインでも、審査に通らなければボルドーとは名乗れないのです。
いつも言っていますが、フランスは自由においしいものを作る可能性を、法律や規則でがんじがらめにしているような気がします。

でも、そんな国フランスでも、常に妥協をせず、とことん自分の考えでワインを作っているクロード。
そんな彼の作るワインは、他には全くない独特の味わいを持っています。

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ファブリスが訪れた11月頭に、遅摘みのため、ほとんどコンフィになっているブドウ。

今回、6樽しか作っていない「ル・プティ・コワン・デュ・パラディ」という名前の、ムニュ・ピノというブドウで作ったデザートワインをファブリスが半樽分買い、クロードがわざわざブザンソンまで配達してくれました。
オ・イ・シ・イの4文字。
甘いのに重くなく、いい感じに酸味があって、これからの季節、パン・デピス(スパイス入りケーキ)にフォアグラをのせたトーストにぴったりです。

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これからもますますおいしいワインを作ってね、クロード。

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旅行日記 ワインの地 

今日のブザンソンはさむ~い。
家の中でマフラーをぐるぐる巻きにしている私。ほほ。だって寒いんだもん。
まだ旅行から帰って来て2週間とたっていないのに、青い海、熱い砂浜が遠~い昔の話のよう・・・。
はぁ、これがブザンソンの現実。

さっ、気を取り直して最後の旅行日記。
夏の旅行には必ずつきもののワイン生産者巡り。
毎年、確実にヴァカンス中のお仕事は減っているものの、やっぱり近くを通るとファブリスは職業意識が芽生えるご様子。いやそうな私を気遣って(ごめんなさい。だって、ヴァカンスなんだもん。)今年は4、5件。
でも、行ってみるとみんないい人達で情熱家、こういう人達と仕事ができることのすばらしさを再確認します。
ということでご報告。

まず最初はサン・シニアンのティエリー・ナヴァール(Thierry NAVARRE)。
その日は親戚中が集まるパーティーがあるとのことで急いで4、5種類のワインを試飲。
忙しくて時間がなかったことを気にして、お昼ごはんにと、畑のトマトとバジル、自家製イノシシのテリーヌと、裏庭のイチジクを好きなだけもいでいってと、木箱一杯の白いちじく、そしてワインを3本もくれました。
車の中でワインが熱くなりすぎないようにと、凍らせたペットボトルの水も一緒に。

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ちょっといくら好きなだけって言ったって、遠慮ってもんがないんでしょうか、この人・・・。

優しいティエリーのおかげで浜辺でとっても贅沢なランチ。うふふ。
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ティエリーは、ほとんど廃れてしまっているようなブドウの種類、ウイヤード(oeillade)やリベランク(ribeyrenc)を使ったワインや、糖度を高めるために乾かしたブドウで作るパスリヤージュのデザートワインなどを作っています。
どのワインも昔からの伝統を尊重した醸造方法で作られているため、おいしくてシンプルなワイン。

お次はバニュルスのカゾー・デ・マイヨール(le Casot des mailloles)。
アランは早速、山の上の信じられない環境にある畑へ私たちを連れて行ってくれました。
私たちがワインを買っている生産者たちは、自分たちの畑に誇りを持っています。
彼らの一番の仕事は畑仕事。
おいしいワインを作るには、どれだけ健康でおいしいブドウができるかにかかっているから。
だからまず見てほしいのはぶどう畑なのです。

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見て、この見晴らしの良さ。こんな景色を見ながら汗を流すなんて、なんて気持ちがいいんでしょう。
でも、信じられない環境というのは美しいだけではないんです。

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こんな急斜面をもちろんトラクターでは行けませんから全て手仕事。
(下りるだけでもよたついてる私。)

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その上、ブドウの収穫量はほんのわずか。大変なのに割が合わないというのが悩みのよう。
でも、だから彼らのワインはとても力強く濃厚です。
結局、カーヴでワインを試飲しながら、ジスレーヌがイベリコハムだのアンチョビだのいろいろと用意してくれて楽しいアペリティフになりました。

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彼らのカーヴにて、ジスレーヌとアラン。本当にいい人たち!

その後、つい最近の雹で12ヘクタールものブドウを失ってしまったエリオン・ダロスや、ミュスカデのマルク・ペノーやギ・ボサールなどのカーヴを訪れました。
今年のブドウ摘みはもういまごろ真っ盛りなことでしょう。
みんな、いい年になりますように!

私のいない間に・・・。 

ファブったら私が日本にいた間、けっこうお料理してたみたいで(しかも友達を呼んだりして)、写真もバシバシ撮っていました。
ちょっと、私にもつくってよぉ。

¨The picrate¨という幻のワインをアンジュで作っていて、今はワイン作りをやめて南で田舎暮らしをしているエリック・カルキュットがブザンソンに来たので、ファブがオープントーストやソーセージを用意して、フーさん、ユーさん、ブーさん(みんな簡単な名前だ)を招いてパーティーをしたらしい。

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オープントースト4種類にソーセージとジャガ芋を煮たもの、野菜スティックに手作りアイオリ。
やるじゃない。

最後にデザートワイン、マクヴァンを飲みながら待ったりしてるとこ。
(フーさん、ブーさんはつむじだけの出演でごめんね。)

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ふ~ん、空き瓶6本かぁ。
ユーさんは今飲めないから飲んだ人数4人でひとり一本半、わりとおとなしかったのね。

私たちはエリックのワインを最後すべて買い取ったので、思う存分飲めるのです。
きのうもヌリソン・ブラン(nourrisson blanc)を飲みました。おいしかった!
彼は4、5年ワイン作りをやっただけなのに、よくこんなにおいしくて安定したものが作れたなあといつも感心してしまいます。

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かわいいラベルもエリックのデザインと制作。
キュヴェごとに違う色のロウで瓶の口を閉じてあります。

*フランス在住の方はお店のサイトでエリックのワインをご注文いただけます。

究極のザンザンワイン 

昨日アペリティフに飲んだワインは、目の覚めるようなおいしさでした。

そのワインとは、マジエールの「キュベ ノーブル トケ」。

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マカブーというぶどうで作られたコルビエールの甘い白ワインです。
ヴァンダンジュ タルディブ(遅摘みのぶどうで作るため、糖度が高く、甘いワインが多い)で、樽の中での熟成期間はなんと、10年!
エリック カルキュットのワインを思い出させる蜜蠟のような香りで、キャラメルのような味がしたり、イチゴのような味がしたり、グレープフルーツのような味がしたり、べっこう飴のような味がしたり、と本当にいろいろな味が口の中で次々と生まれます。
柑橘類のような苦みと混ざって、とてもさわやかな甘さ。
うまく説明できないけど、とにかくほんとにおいしいんです!

そういえば説明が遅くなりましたが、実はうちの店の名前、「レ ザンザン デュ ヴァン」とは、ワインにいかれたちゃった人たち、ワイン気違いという意味なのですが、このワインを作ったジャン-ミッシェル ラブイグがまさにそういう人、いえ、そういう人でした。
実は彼は一年ほど前に病気で亡くなってしまったのです。

初めて会ったジャン-ミッシェルは、ズボンをサスペンダーで吊り上げて、小さなカーヴの中に座っていて、いかにも私たちが想像する、田舎でワインを作ってるおじさんという印象。普通の水を飲むコップに、どぼどぼとワインをついでくれ、ファブリスのこれは何年の何かなどという質問には全然答えず、とってもマイペースで、私たちも最後には、そんなことどうでもいいようになってしまい、ただ、おいしいおいしいと飲んでいました。

彼は、もともと遺伝子学の教授で、ハーバード大学で教鞭をとっていた、とても頭のいい人で、ぶどう畑に散布されていた猛毒、砒素剤がとても危険であることを立証し、使用禁止にしてしまったほど。
そんな人なので、当然、農薬や化学肥料は使わず、醸造にもいっさい添加物を加えず、酸化防止に必要とされる亜硫酸も全く使いませんでした。
だから彼のワインの中には、成分的にはほとんど酢になっちゃったようなものもあったけれど、あまりにぶどうが濃縮していて、しかも熟成期間も2~10年ととても長いので、そんなことを気にさせないような強さがありました。
2月にパリのレストランで彼の赤ワインを飲んだ時も、彼の偉大さを改めて実感したものです。

彼のように信念を持って頑固にワインを作ることは、フランスではいろいろな意味で難しく、彼のすべてのワインが規格外の“ヴァン ド ターブル”。
こんなにおいしいワインを長い時間をかけて作って規格外になるなら、格付けなんて意味ないって思いませんか?
そんな彼もやっぱり分かり合える相手が欲しかったのでしょう、頻繁に電話する愚痴の相手がいました。
それはもう一人のザンザン、クロード クルトワ。
ジャン-ミッシェルは、会ったこともないのにワインを飲んだだけで同士というのが分かったのか、毎晩のようにクロードに電話をかけたそう。
でも残念なことに、実際に彼ら二人が会うことはありませんでした。

このワインを飲んだあと、ファブリスと、うちにあるジャン-ミッシェルの作ったワインの半分は売らずに自分たち用に取っておこうねって決めました。
熟成期間がどれも長いので、どれだけ保つかなんてことは全然心配ないのだから、大切に飲んでいこうっと。

日曜日は青空サロン“LES VIGNERONS SURNATURELS” 

最近多いのが、それぞれの生産者の家で、友達の生産者を招いて開催する
プライベートな試飲会。
今回はアルボワの近くモロンボにカーヴを持つ、ジャン-マルク ブリニョーが主催。
お昼前に出て、少しサロンをのぞいた後、川辺でバーベキューの予定が、おいしいワインばかりだし、生牡蠣は食べれるし、アルボワの“イルサンジェール”のチョコレートの試食はあるし、結局19時まで残ってしまいました。

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ワインショップをやりながら自分のワインを作っているファブリスが、同じように
スイスのワインショップで働きながら自分のワインを作っている奥田民生似のポールのワインを試飲しているところ。
ファブ「んっ、こやつやるな!」

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フーもユーもちゅるちゅる口をとがらせてプロっぽくテイスティング。

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生産者たちはそれぞれ樽を試飲台に、真ん中には大きなテーブルを置いて座れるように。
それはそれは気持ちのいいすてきなサロンでした。

んで、予定していたバーベキューはどうなったかって?
そのあと川原に行き、一日中炎天下の中、車に放置されていた危険なお肉を焼いて食べました。おいしかったよ。